影像短詩

記憶に接続する

Cord30m:「雪泥鴻爪」

形に残るものなんて 有りはしないと最初から分かっていた それでも人は爪痕を残そうとするの この世界の片隅で 儚く消えようとも

Cord29m:「少し」

ねぇ 少しだけ あと少しだけ あの日あなたを 許せることが出来ていたなら 今、後悔に縛られるわたしを 許すことが出来たでしょうか

Cord28m:「消失」

あなたを守る為に 足りないモノを探しに出た 探してるうちにあなたを見失った あなたを探すには 足りないモノが多すぎた そして何も残るモノはなかった

Cord27m:「蝋燭」

暗闇を僅かに照らすほどの光 手を近づけると微かに届く温もり 少しの振動で揺らめく炎 時間と共に減りゆくその姿は 絶望の中にある希望に似ていた

Cord26m:「呼吸」

必要なモノだけを吸い込んで 不必要なモノを吐き出す 社会と言うモノに吸い込まれ 時代によって吐き出された 虚空に漂うわたし

Cord:25m「月震」

あなたは何もしらない 美しく輝くその深くで 人知れず震えていることを 強く生きているのではない 怖さが無いわけじゃない それでも冀望と言う光が 残酷にわたしを照らし続けている

Cord24m:「依存」

目を閉じていても 耳を塞いでいても 手に触れられなくても もう二度と 温もりを感じれなくても 全て記憶の中にいる

Cord23m:「深海」

もう これ以上沈む事のない 底へと辿り着いたわたし そう ここからはもう 上がる事しかないの

Cord22m:「月光」

手を伸ばせば 届くだなんて そんな近いモノなら 見向きもしなかった それは途方もなく 追いかけても追いつけない 月光のごとく美しい あなたに 他ならなかったからだ

Cord21m:「醜」

わたしは 「私」と言う 人から愛され 誰の害にもならず 笑顔も絶やすことのない殻の中で 醜い心を持て余している 私を守るモノにいつの日か ヒビが入ることを 密かに願っている

Cord20m:「雨」

今日もまた 届く事のなかった想いたちが とめどなく墜下している 地を叩く音は慟哭に似ていて わたしを震え上がらす この想いは必ず あなたに届けたいのに

Cord19m:「頁数」

私という存在が 数ある中の ほんの1ページでいい 気まぐれに読み返す程度でいい 破れて薄れてしまってもいい あなたの手元に残るなら

Cord18m:「名」

あなたほど わたしの名前を呼んだ人は居ない わたしほど あなたの名前を呼んだ人も居ない そしてそれはもう わたしたちに 届くこともない

Cord17m:「鼓動」

産まれる前から ずっと叩き続ける音 わたしの中のわたしが ここに居るよと叩き続ける音 この振動が消えるまで わたしを内側からノックする

Cord16m:「暖」

冷たい風が わたしに纏わりつき すべての温度を奪おうとしている だから今あなたの その手が その声が その瞳が 必要だったの わたしを守るのもは あなたしか 居なかったのだもの

Cord15m:「生」

諦めてもいい 逃げ出してもいい 誰かを傷付けてしまっても 何かを壊してしまったとしても あなたが生きて居てくれたら それで

Cord14m:「想」

夢は観るのじゃなくて 探すもの 恋はするのじゃなくて させられるもの 傷は隠すのじゃなくて 触れてもらうもの 言葉は放つのじゃなくて 伝えていくもの 幸せは願うのじゃなくて 起こしていくものなの

Cord13m:「変」

何も変わりはしないと 嘆く日もあるでしょう でも忘れないで あなたが動けば 未来も変わっていくことを

Cord12m:「繋」

人と人を繋ぐ糸は 結べるくらいで丁度いい 心と心を繋いだ糸は 解けるくらいで良かったのに

Cord11m:「愛」

痛みのない愛は遊戯 痛すぎる愛は労働 深すぎる想いは呪詛 浅すぎる想いは幻想

Cord10m:「前」

うつむいて居ては 空の広さに気づかない 見上げてばかりでは 足元の危うさに気づけない さぁ 前を向いて

Cord9m:「悔」

ごめんなさい 分かって欲しかったんじゃない ただ 聞いて欲しかっただけなの

Cord8m:「誇」

わたしは 誰にも負けないくらい 人を愛した 誰にも劣らないくらい 人に愛された

Cord7m:「闇」

何も見えなくなるほど 人を愛せたのなら 私の明日は暗闇でもいい

Cord6m:「手」

ただこの手を 離さないで居てくれたなら もう 孤独を感じることもなく 道に迷うこともなく 温もりを探すこともない 人は何かに掴まり生きているなら それがあなたであって欲しいだけ

Cord5m:「涙滴」

泣きたかったのではない 泣いてあげたかったんだ 苦痛にも似たあなたの笑顔が あまりに私と似ていたから そう言う風にしか笑えないと 分かってしまったから

Cord4m:「反響」

もう逢えないと知った時から あなたが残した言葉が いつまでも内側に響き渡る そしてその言葉には 逃げ道がないように 私の中でぶつかり合っている あの日からずっと

Cord3m:「痕」

その歩みに迷いはなく その言葉に偽りもなく その想いに濁りもない あなたは真っ直ぐ明日に向かっている その傷跡を誰にも見せずに

Cord2m:「孤独」

きっと誰でもよかった 私だけを見て 私だけに言葉を紡ぎ 私だけに触れてくれる人が居るのなら それが言葉に出来ぬほど 愚かで憐れな想いとしても

Cord1m:「残像」

目まぐるしくすぎる時の中で この身だけが朽ちてゆく そしてどれほど早く過ぎ去ろうとも あなたの残像だけが振りほどけない